か、かえらせてくれ！！！

辺りが暗くなり部活動を終了した西部高校のアメフト部部室は、シャワー後スッキリした部員達で賑わっていた。部活が終了しても１時間くらいはダラダラと部室で喋っていたりするその室内では、アメフトの話は勿論、新製品のお菓子の話から好きな子の話まで、様々な話題が飛び交っている。
「あ、そうだ。近くの農家の人から差し入れでサクランボ貰ってきたんだ！」
日誌をつけていたマネージャーである相内は、今日の出来事を綴っていて思い出したのか急に顔を上げる。
「去年も確かこの時期貰ってきてたよな。」
「氷水で冷やしてあるから美味しいよ～。一人三個ずつくらいかな？」
「って聞けよオイ！」
牛島が昨年を思い浮かべて同意を求めるが、勿論聞いている人間など誰一人として居ない。否、聞いてはいるのだが返事をしなくてもいいや、と思うのが西武ワイルドガンマンズの部員達だ。部長苛めは今日も絶好調のようである。
備え付けの冷蔵庫からサクランボが冷やしてあるボウルを取り出して皆に効率良く配る相内は、男子が好みそうな話を口にする。

「そういえば、サクランボの茎を口の中で結べる人はキスが上手いんだっけ？」

聞いた事があるだの自分は作れるだの、今までの話から一転して乗ってくるガンマンズの面々。楽しそうにはしゃぎ、早速挑戦し始める人間を尻目に相内は鉄馬にもサクランボを渡す。
「はい、鉄馬君。キッド君寝てるみたいだから、一緒に渡しておくね。」
コロコロと掌に転がされたサクランボは６つ。鉄馬は、いつものロッキングチェアーに浅く座り込み背凭れに体重をかけ、カウボーイハットで寝顔を隠しているキッドを軽く見てからコクリと頷いた。




つづきはあした。。。（撃沈）